エッジAIで実現する空港向け自動運転シャトルバスの高度化
NVIDIA Jetson AGX Orin搭載のSINTRONES IBOX-650P-T1が、センサーフュージョンと自律走行に必要なエッジAI処理を支援
世界各地の空港でデジタル化が進むなか、旅客輸送や地上業務の自動化が重要な課題となっています。空港内では航空機や地上支援車両、手荷物搬送車などが行き交うため、輸送効率の向上と安全性の確保を両立する仕組みが求められています。その一つとして注目されているのが、空港向け自動運転シャトルバスです。
自動運転シャトルバスには、周囲の状況をリアルタイムで把握し、障害物の検出や走行経路の判断を行う高性能な車載コンピューティング基盤が必要です。本事例では、SINTRONESのIBOX-650P-T1を活用し、複数のセンサーから取得したデータを車両側で処理することで、空港内の複雑な走行環境に対応する自動運転システムの構築を支援しています。
空港の複雑な走行環境に求められるセンサーフュージョン
空港のエプロン(駐機場)や周辺の走行エリアでは、航空機、地上支援車両、手荷物搬送車など、さまざまな車両や設備が移動しています。一般道路とは異なる運行ルールや走行環境に加え、強い日差し、高温、豪雨、濃霧など、天候や視界の変化にも対応しなければなりません。
こうした環境で自動運転を実現するには、車両周辺の状況を継続的に認識することが重要です。高解像度カメラ、LiDAR、レーダーなどのセンサーは、それぞれ異なる特性を持ち、周囲の物体や距離、動きを把握するための情報を取得します。
複数のセンサーデータを組み合わせるセンサーフュージョンにより、単一のセンサーだけでは把握しにくい状況への対応を支援できます。ただし、大量のデータを同時に処理するためには、高い演算性能と低遅延のデータ処理能力が求められます。
また、障害物の検出や走行経路の判断に必要な処理を車両側で実行することで、外部ネットワークへの依存を抑えながら、自動運転システムに必要なリアルタイム性を確保しやすくなります。
NVIDIA Jetson AGX Orinによる高性能エッジAIコンピューティング
本プロジェクトでは、SINTRONESのIBOX-650P-T1を自動運転シャトルバスの中核となる車載コンピューティングプラットフォームとして採用しました。
IBOX-650P-T1は、NVIDIA® Jetson AGX Orin™を搭載したエッジAIコンピューターです。GPUを活用したAI推論処理により、カメラ映像や各種センサーデータの解析を車両側で実行できます。
これにより、物体検出や周辺環境の認識など、自動運転に必要な認識処理を支援します。取得した情報を車両制御システムと連携させることで、走行経路の判断や障害物への対応に必要な情報を提供できます。
GMSL2と車載通信インターフェースによるシステム統合
- GMSL2によるマルチカメラ接続: 最大4台のGMSL2カメラを接続でき、車両周辺の広範囲な映像データを取得できます。高速・低遅延の映像伝送により、複数のカメラ映像を活用した物体検出や周辺環境の認識を支援します。
- 車載システム向け通信インターフェース: Marvell® T1車載Ethernetと2系統のCAN FDインターフェースを備え、車両制御システムや外部通信モジュールとの接続に対応します。自動運転システムに必要なセンサー、演算装置、車両側機器の統合を支援します。
- セキュリティとシステムの安定性: ハードウェアセキュリティ機能とウォッチドッグ機能を備え、システムの保護と安定した運用を支援します。継続的な稼働が求められる車載AIシステムにおいて、信頼性を高めるための機能を提供します。
過酷な空港環境に対応する堅牢性と車載電源管理
自動運転シャトルバスに搭載するコンピューターには、高い演算性能だけでなく、車両走行時の振動や温度変化、電源変動に対応する堅牢性が求められます。
IBOX-650P-T1は、こうした車載環境を考慮して設計された堅牢型エッジAIコンピューターです。
- 交通分野に対応する規格・認証: EN 50155、E-Mark、ECE R118など、交通分野に関連する規格への対応を考慮した設計により、車載システムへの導入を支援します。
- 耐環境性能: -25~70℃の動作温度範囲に対応し、IP40のアルミニウム合金製筐体を採用しています。また、MIL-STD-810Hに基づく耐振動・耐衝撃性能を備え、車両走行時の振動や温度変化がある環境での運用を支援します。
- 車載電源管理: 9~60V DCの幅広い入力電圧に対応し、車両側の電源条件に合わせたシステム構成が可能です。オプションのUPSバックアップバッテリーを組み合わせることで、電源が不安定になる状況への対応も支援します。
これらの機能は、空港内を長時間走行する自動運転シャトルバスの安定運用を支えるとともに、保守負担や総所有コスト(TCO)を考慮したシステム設計にも役立ちます。
空港向け自動運転を支えるエッジAIの可能性
空港向け自動運転シャトルバスでは、カメラやLiDAR、レーダーなどから取得した情報をリアルタイムで処理し、車両周辺の状況を正確に把握することが重要です。そのためには、AI推論性能、センサー接続、車載通信、耐環境性能を備えたコンピューティングプラットフォームが欠かせません。
SINTRONESのIBOX-650P-T1は、NVIDIA Jetson AGX OrinによるエッジAI処理とGMSL2、車載Ethernet、CAN FDなどのインターフェースを組み合わせ、自動運転シャトルバスに必要なシステム統合を支援します。
SINTRONESは、交通・産業分野向けの堅牢型エッジAIコンピューターを通じて、自動運転、車両管理、スマート交通インフラなど、さまざまな用途に対応するコンピューティングソリューションを提供しています。今後も高性能なエッジAIと堅牢なハードウェア設計により、次世代のスマートモビリティを支えていきます。
